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教育長から

大アカマツの命を受け継いで

 

教育長 中嶋 晴幸

 

 東法田集落を一望する東山の中腹に、幹まわり8メートルを超える雄大な姿を誇っていた大アカマツが枯死しました。樹齢は約600年であったろうと推測されています。大アカマツは、平成5年に日本一と認定され、山形県天然記念物にも指定され、その堂々とした姿を一目見ようと、近隣の方々はもとより遠方からも大勢の人が訪れました。東法田の大アカマツは、最上町の自然に息づく数多の巨木を代表する巨木として、広く後世に伝えるべく、町としても樹木医の指導のもと、周囲の環境整備や松喰い虫対策の薬剤散布など、保存活動に努めてまいりました。しかし、平成20年代後半頃から急激に樹勢が衰え、葉が赤変し、枯れ落ちていく症状が進行し始めました。対策として、赤変した太い枝を特殊な方法で切り落とすなどの対策を施しましたが、その甲斐もなく、令和元年8月に枯死の判断に至ったところです。大アカマツはその雄大な姿で人々に感銘を与えただけでなく、急峻な崖の中腹にあり、冬には厳しい北西の風を真向に受けるという劣悪な環境下でも成長し続けたということに私たちの心を動かすものがあったと考えるところです。
 令和3年6月に、大アカマツは多くの人に見守られながら伐採されました。驚いたことに、伐採根には少しも空洞がなく、目の詰まったきれいな年輪が見られ、現在、いろいろな用途に活用すべく板材として乾燥され、次の命が吹き込まれるのを待っています。その活用の一つとして、創作楽器の制作が進められています。いずれ、町の子どもたちによる美しい音が奏でられるものと期待するところです。
 また、東法田の皆さんを中心に、強い生命力を持つ大アカマツの種子を培養し、幼木を丁寧に育ててまいりました。そのうちの一本を近々大アカマツの伐採した後に移植する予定であり、いずれ大きく育って往時の大アカマツを想起させるものと期待されています。
新型コロナ感染症の流行は、発生から2年が経った現在も収束することなく、子どもたちの学びや、生涯学習においても大きな影響を与えており、色々な活動が制限されるなど、我慢が強いられております。大アカマツが生きた600年の間にも、それこそ多くの困難な事象があったことでしょう。それに耐えて大きく枝葉を茂らせ、子孫を残した大アカマツの命に学ぶことはたくさんあります。
 最上町には豊かな自然、史跡、伝統文化など、恵まれた教育資源があります。大変な時だからこそ、足元をしっかり見つめ、ふるさとへの愛着を深めるとともに、新たな動きにもしっかり対応し、コロナ収束後の飛躍につながる教育に邁進することを誓い、巻頭の言葉といたします。

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